暑さのあとは気圧の差
暑い夏もそろそろ終わりか・・と、思うとやってくる台風の季節。
暑さに参っていたところに、今度はぐっと下がる気圧と風と、温かい太平洋の水分、雨がやってきました。(気圧についてはこちらを参照)
北半球の大気がよく熱せられてきたところにおこる、当然の現象なのですが、この休みのない感じにどうにもやりきれない気持ちにもなってしまいます。
大陸の端に位置する日本という国は、いつもこのように、お休みなく気温と気圧、湿度が目まぐるしく動きます。
でも、このようだからこそ、こまやかな心遣いが行き届く、いわゆる「日本の良さ」というものが培われたと言えると思います。
では、この夏から秋へかけての季節、どのように、夏の疲れを手当てして、季節の変化を乗り切っていったらよいのでしょう。
夏の疲れとは
まず、よく頑張ってくれたのが胃腸ですね。
冷たいものを温めて、動かして、消化して、身体中にいきわたらせて、この秋を迎えさせてくれた胃腸。
そして、腎臓。
どれだけの水分を濾して要らない分を排出してくれたでしょう。
さらには、神経。
エアコン効きすぎの、寒いときには身体を引き締め、そうでない暑いときには緩ませて、多い日には、なんどそれを繰り返してくれたでしょうか。
夏の疲れは、そのように溜まってきて、それぞれ、少し活動的になりすぎたり、だるくなったしている状態です。
まずは過活動に気を付けよう
活動的になりやすいのは神経。
ちょっとのことが許せなかったり、どうにも悲観的になってしまったり。そう、「白秋」というように、夏に疲れ果て、燃え尽きたわたしたちには、すべてのものが白く見えます。(諸説ありますが)
こういう時こそ、深くまで寛げるように、ゆったり身体を動かしましょう。
神経が高ぶっているときほど、少しゆっくり、エクササイズではなく、「ヨーガ」を行います。
過活動になった神経は、ともすれば、自分をも過剰に動かしてしまいます。
まだ何か足りないのではないか、もっと何かをしないといけないのではないか。何かを得ないと満たされないのではないか。
そんな風に突き動かされて、へとへとになってしまわないよう気を付けましょう。
ご存じのとおり「ヨーガ」は呼吸に意識をおいて、心地よいだけ長く息を吐きます。じょじょに呼吸が長くなっていくのが理想です。少しずつ長くなるように動かしていると、ぐっとより疲れを感じる瞬間がくると思います。そうしたら、その疲れをよく味わいながら、その疲れがどのようにしたらよく抜けて行ってくれそうか、よく感じ取ろうとします。
多くは、そのままよく眠ることが一番の休息になるでしょう。
その時には、シャバアーサナを行います。
ただただ、身体を一番楽な形に横たえる。
よく頑張ってくれた身体、それぞれの部分をよく休めてあげる。
そう、特に神経、よく頑張りました。
長く伸びた神経細胞、それぞれは目の奥から脊椎を通って、手の先、足の先、それぞれの臓器、すべてにつながっています。それぞれがよくおやすみできるようイメージをして、よく息を吐いてください。するとふっとそこから余分な力が抜けていきます。
頭の中、胸のうち、肚の底、すべてが緩むように、休まるように息を吐きます。
まるでMRIか何か、大きな、精密な機械に自分を輪切りにして見てもらうかのように、自分を眺めてみます。
そして、まだ頑張っているところがあれば、同じように息を吐いて、あるいは、そこがよく休まるように動いて、その部分をヨガマットに預けていきます。(もちろん、畳にでも、ベッドにでも)
ねじったり、逆さになったり、伸びをしたり
このとき、まだまだ動きたいという人は、引き続き動いていきます。
ヨーガの動きには、必ず、胃腸を動きや呼吸で引き揚げ、ねじり、逆さにして、ついにはほっとリラックスさせるものが入っています。
口から肛門まで、消化器を広げていくと表面積は400平方メートルになると先にお話しをしましたが、その消化器の表皮は粘膜、そして、さらに深い層は筋肉です。
粘膜は非常に速いペースで生まれ変わっていきます。ここが疲れると、口内炎などが出やすいと言われます。(そのようなサインを見つけたら、消化のよいもの、温かいものを、ゆっくり摂るように心がけましょう)
さらに深いところの疲れ、つまり、消化器の深い層にある筋肉の緊張やダルさも、さまざまなヨーガの動きでうまく緩め、休ませることができます。
緊張していたところ、使い過ぎでだるくなっていたところ、それぞれの血流がよくなって、要らないものは流れ、必要なものが取り込まれ、正常な働きに戻っていきます。
このとき、大きなやすらぎが訪れます。
わたしたちは、どこを動かさないといけないか、ちゃんと知っています。 そして、必要なところをしっかり動かせたら、そこで、ちゃんとお休みをしようと、身体が緩んできます。
そこで、シャバアーサナに入りましょう。
イメージをかなえよう
人によって、こんな風にお休みをしているうちに、あるいは、身体をゆっくり動かしていくうちに、あるいは、シャバアーサナから覚めるか覚めないかのときに、ふと、イメージや、香り、意味のある音などが浮かぶ場合もあります。
例えば、「ああ、わたしは、森に入って木々の香りを嗅いで、どこまでも歩いていきたいんだ」
イメージとともに、何か自分の中に腑に落ちた感じが残ります。
そんなことが起こったら、できる範囲でそのイメージをかなえてみようとしてみましょう。
こうした欲求は、先に書いたような、神経の過活動による欲求とは違います。
自分にそれを体験させることで、肉体と精神の疲れを流し去り、自分の深いところに大きな喜びと滋養を与えてくれるものです。
毎日の生活に瞑想を取り入れよう
そうした、深いところの欲求が湧き出る心身の状態は、瞑想に近づいた状態と言われます。
そこに至る前、まず、呼吸は深くリラックスして、「あれをやらねば」、「これをやらねば」、「あれが欲しい」「これが欲しい」、ずっと自分の外へ向いていた意識が、すっと内側へ向くようになります。
ここには、わたしたちの行っているようなヨーガ的な動きが非常にスムースに運んでくれます。
この過程で、さまざまな思いや考え、いわゆる「雑念」が湧き出ます。
ここでヨーガを伴わずに、呼吸だけとか、意識だけ、いわゆる、「瞑想行」だけを行おうとすると、「ああ、なんてわたしは罪深い人間なんだ」と思いにとらわれて、どうにも、前にも後ろにも進めずに辛い思いに沈んでしまう場合があります。
そんなときは、動きます。
そして、その動きに意識を置きます。動きには呼吸が伴いますので、その呼吸に意識をおきます。
これを繰り返していくうちに、思いという思いはすべてどこかへ行ってしまい、湧き出る雑念もなくなってしまった状態、それが瞑想という状態です。
ヨーガは、こうした「思い」=「こころの働き」を緩やかにしていく方法です。また、緩やかになりきった境地、つまりは瞑想の状態のことを指します。
そして、そこでわたしたちは疲れを捨て去って、新しいイメージを得て、生き返ります。
そして、いつでも、そのように、新しくいられるように自分を整えていく行のことも、ヨーガと呼んでいます。
今年はいくつの台風がやってくるのでしょうか。
いくつ台風がやってきても、瞑想はわたしたちを、新しく、元気でいさせてくれます。
思いがわたしたちを疲れさせませんように。
必要なことを成し遂げていけますように。
瞑想を毎日の生活に役立てて参りましょう。
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