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執筆者の写真ktomonaga

「心騒ぐ」春を「心浮き立つ」春に

この季節の過ごし方 啓蟄









啓蟄とは、冬ごもりをしてきた虫や蛙の這い出るころ。


水がぬるくなり、土の中でも春を感じられる時なのでしょう。


私たち人間も、冬眠はしませんが、それでも、冬の、じっと動かない、ずっとまどろみの中に閉じこもるような日々から、外へ出て刺激をうける日々へと変化する時期です。


この時期は、より寒暖の差が大きくなり、天候の変化も大きくなります。まれにですが、桜が咲いているのに雪が降るというシーンが見られるのがこの時期です。


わたしたちの身体は、気温が高くなると、緩みやすくなって、巡りがよくなってきます。


そして、寒くなると縮こまって、巡りが悪くなりがちです。


この間を行ったり来たりしますので、身体は、巡らせたらよいのか、そうでないのか、忙しく判断を迫られ、働かなくてはなりません。


その間、わたしたちがかく汗の量も、摂り入れる水の量も、塩分の量も変化をします。


それぞれがある程度の幅で推移してきた冬とは、全然違う。


この「違う」、「変化をする」、というのが春の特質です。


気温だけに限らず、気圧も、湿度も目まぐるしく変わります。


明るくなり暖かくなると、草木が芽吹き、虫や、蛙、鳥たちも活発に動き出します。


散歩道がこの時期のように楽しいことはないですね。


花々のつぼみが大きくなった、ほころんだ、咲いたと口の端に上ります。


明るくなるので、視覚に飛び込んでくるものが、非常に新鮮に感じます。


こうした数々の自然の変化にくわえて、日本では異動の時期でもあるので、職場に変化もある場合もあります。


実に変化に富んだ季節が春です。


こうした変化は、いやがおうでも心の働きを呼び起こします。花々に視覚が虜になり、鳥のさえずりに耳が虜になり、香に嗅覚が、薄着になって、寒暖の差があって、触覚が虜となります。


感覚からの情報が多く、その上で、身体も環境に変化を受ける。冬からすれば、春は、上が下になってしまったような、そんな時期とも言えます。


こうしたことが原因となって、少し疲れてしまうと、いつも以上に他の人と自分を比べてみてしまったり、とうの昔に気持ちの上で整理をつけたつもりのことが、またふつふつと湧き上がって来たり、心、ヨーガでいうチッタの働きが活発になりすぎてしまいます。


「心が浮き立つ」くらいでしたらもちろん歓迎ですが、「心が騒いでしまう」ことが続くと、大変ですね、


こうした心=チッタの働きを緩めていく、沸き上がった記憶の粒子を沈殿させる、あるいは流し去っていくのが、ヨーガの行法です。


身体が整い、アーサナができるようになり、プラーナヤーマができるようになると、こうしたことができるようになります。


こうしたヨーガの実習を助けてくれるのが、食事です。消化力に余裕があれば、心の働くさまを見る余裕となります。


お腹いっぱいに食べないで、時に少し食事を軽くしてみる。


特に、ぐんと暖かくなりそうな日に、食事の感覚を空けて、レッスンを受けてみる。


普段より、身体のこと、呼吸のこと、心のことを、より余裕をもって眺められると思います。


おおきな柑橘類のおいしい季節ですね。そして苦い葉物も出ています。


それぞれ、身体の中の古い組成を流してくれると伝えられます。


冷えない程度に積極的に取り入れて、アーサナをして、プラーナヤーマをして、「チッタ」の働きが緩んで、どこかへ去っていく様をみてみましょう。


それは、大きな、ヨーガの実習のステップになります。

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